ヴァイオリニスト 久保陽子物語 #4

良き師との出会い

中学1年の時、村山氏の紹介でイスナール氏に師事することになりました。通常同じ先生で週2回のレッスンをするところ、当時大変忙しかったイスナール氏、生徒は2週間に1回しかレッスンが受けられなかったそうです。ところが、村山氏は「陽子ちゃんを完全にイスナール先生にお任せしたい」と申し出ました。
才能のある生徒は自分の手元に置いて自分で育てたいもの。それを村山氏は「才能があるからこそ、自分ではなくイスナール先生に」と頼まれたのです。「ムラヤマさんはなんという人格者でしょう!」と感銘を受け、イスナール氏も快諾されたそうです。

イスナール氏とのレッスンは、当然のことながら、フランス語でした。フランス語は話せなかった久保さんの、通訳を間に挟んだレッスンが始まりました。ただ…当時の通訳はどうやら音楽のことを知らなかったようで、細かいところがどうも…違うのです。

久保さん「どう考えてみても、イスナール先生がおっしゃることと、通訳の人が言うことが逆なのよね。で、考えてやってみるんだけど、やっぱり逆なの(笑)」

その後、この村山氏の心意気を踏襲し、イスナール氏も久保さんを手放す時には信頼できる次の指導者に、すべてを託されたそうです。師にも愛された久保さん。ここからも素敵な出会いを引き寄せていきます。

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